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【広島芸術学会】会報第182号 2025年12月2日発行
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□目次□
1.第144回例会(12月21日)のご案内
2.第14回芸術展示の開催について
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1.第144回例会(12月21日)のご案内
下記の要領で広島芸術学会第144回例会を開催いたします。ご参加をお待ち申し上げております。
日時:2025年12月21日(日)15:00~17:10
会場:広島大学東千田キャンパス(住所:広島市中区東千田町一丁目1番89号)
総合校舎L棟(慎思棟)5階 地域連携フロアSENDA LAB 会議室1
東千田キャンパスへのアクセス(https://www.hiroshima-u.ac.jp/access/senda)
キャンパス内の会場までのアクセスは、(https://www.hiroshima-u.ac.jp/iagcc/ccc/sendalab)
【プログラム】
●15:00~16:00:研究発表1
「桃山障壁画研究の成立過程:近代における評価の変遷をたどる」
発表者:多田羅多起子(広島大学 准教授)
(要旨)
本発表では、近代において桃山障壁画が美術史の研究対象として捉えられるようになった経緯を、この間の言説分析を通して検証する。明治期から昭和初期を対象とし、E.フェノロサ、岡倉天心、澤村専太郎、中井宗太郎、福井利吉郎、大類伸、秋山光夫、土田杏村らの論者による評価史をたどる。
桃山時代の殿舎や寺院を彩った障壁画は、大胆な構図や金地濃彩、雄渾な水墨表現により、日本美術史において重要な位置を占めるとともに、現在では観光文化資源としても機能している。しかしながら、日本美術史学の草創期である明治前・中期においてはその価値が見過ごされがちであった。明治期において西欧の枠組みをもとに「装飾」として看過された価値は、その後、絵画史の一部に組み込まれることで「作品」として評価の対象となった。
桃山障壁画研究は大正期から昭和初期に大きく進展するが、そこに至るには、建築装飾から絵画作品へと対象を捉える眼差しの変化、実証的研究姿勢の台頭、京滋地域をフィールドとする研究者の発信、桃山時代を日本の文芸復興期と捉えるナショナリズムの高揚など様々な要因が絡み合っている。作品として論じることはまた、西欧の枠組みを尊重する態度の表明でもある。大半が模写や複製画、高精細画像に入れ替わった現在でもなお、障壁画のある空間が文化的価値をもつように、障壁画は、縁で区切られた画面内の「絵画」のみから評価されるものではない。
桃山障壁画の評価史をたどることで、各時代の様相や論者の立場により、その価値がどのように捉えられ、美術史のなかに位置づけられてきたのかを明らかにしたい。
●16:10~17:10:研究発表2
「ポール・ナッシュの戦争記録画におけるシュルレアリスムの視覚」
発表者:宇多 瞳(比治山大学 准教授)
(要旨)
本発表ではイギリスの画家ポール・ナッシュ(Paul Nash, 1889-1946)が第一次及び第二次世界大戦期に制作した戦争画を取り上げる。イギリスにおけるシュルレアリスムの特異な展開として、ナッシュやヘンリー・ムーア(Henry Moore, 1898-1986)らが戦争記録画の制作に携わったことが挙げられるだろう。イギリスの帝国戦争博物館には約94,000点の美術品や関連資料が収蔵されており、その主要な絵画コレクションがナッシュの戦争記録画である。ナッシュの作品には、風景画を思わせる画面構成、人物の表情が描かれない点など、戦意高揚やプロパガンダを目的として描かれた日本の戦争記録画とは異なる特徴が見られる。
ナッシュはイングランド南部の風景の超越性、自然物に宿る生命的な存在感、場所の精神への情熱、先史時代への関心などに基づき作品を制作した。一方、「シュルレアリスムが私を見出した」と後に語ったように、ムーアらと1933年に「ユニット・ワン」を結成、36年にはシュルレアリスム国際展に参加するなど、国際的な動向にも加わっている。本発表では、ナッシュが大戦をどのように捉えようとしたのか、ナッシュの戦争画に彼の思想がどのように反映されているのかを明らかにすることを試みる。また、ナショナル・ギャラリー館長であり、戦争芸術家諮問委員会(WAAC)の創立者として、ナッシュを戦争画家として公式に認めたケネス・クラークによる1954年の講演「視覚の瞬間」(Moments of Vision)などを手掛かりに、クラークがナッシュの戦争画に何を見出そうとしていたのかを考察する。
【懇親会】
例会終了後、以下の要領で懇親会を開催いたします。ご参加をお待ちしております。参加を希望される方は、12月16日(火)正午までに、「広島芸術学会例会懇親会参加希望」という件名で、事務局宛に電子メールにて参加をお申し込みください(E-mail: hirogei@hiroshima-u.ac.jp)。お問い合わせも事務局のアドレスへお願いいたします。(※座席数確保の都合で、当日の飛び込み参加は難しいと思います。事前申し込みをお願いいたします。)
時間:19:00〜
会場:サワディレモングラス・グリル(広島県広島市中区堀川町5-2 モーツァルトハウス4F)
https://sawadee-lemongrass-grill.owst.jp/
2.第14回芸術展示の開催について
第14回となる芸術展示《制作と思考》を、以下のように開催することにいたしました。
・テーマ:「作家の歩み」
・会期:令和8年(2026)4月21日(火)~26日(日) 6日間
・会場:広島県立美術館BF県民ギャラリー第2室、第3室
詳細は、会員宛に添付した応募要項をご覧ください。多くのみなさまからのお申込みをお待ちしております。
会報
No.182
住所、メールアドレスの変更、入退会については、
下記事務局までご連絡ください。
広島芸術学会事務局
〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1
広島大学 総合科学部 人間探究領域(人間文化)
Fax: 082-424-0752
E-mail: hirogei@hiroshima-u.ac.jp
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