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【広島芸術学会】会報第167号 2022年12月4日発行
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□目次□
1.第135回例会(12月25日)のご案内
2.次回第13回の芸術展示の開催時期延期について
3.事務局から
・会費の納入(未納入の方へのお願い)
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1.第135回例会(12月25日)のご案内
下記の要領で広島芸術学会第135回例会を開催いたします。ご参加をお待ち申し上げております。
日時:2022年12月25日(日)15:00~17:10
開催方法:ウェブ会議システムZoomを用いたオンラインと対面のハイフレックス開催
オンラインでの参加
アクセス用URLなど参加方法の詳細については、開催1週間ほど前にメールなどでお伝えいたします。
対面での参加
会場:広島市立大学 講義棟404教室(広島市安佐南区大塚東三丁目4番1号)
アクセス:
以下に示す大学ホームページの「交通アクセス」をご参照ください。
https://www.hiroshima-cu.ac.jp/content0002/
※大学構内のキャンパス・ガイドおよび大学周辺図については、添付ファイルをご覧ください。
【プログラム】
●15:00~16:00:研究発表1
「渡欧が栖鳳の画業にもたらしたもの―「棲鳳」時代の作品との比較から―」
発表者:森下麻衣子(海の見える杜美術館 学芸員)
(要旨)
竹内栖鳳(1864~1942)は、明治から昭和初期まで京都で活躍した日本画家である。四条派の画家幸野楳嶺に学び、「棲鳳」の号を与えられる。1886年(明治19)、京都円山の中村楼でアーネスト・フェロノサの講演に感銘を受け、模写などを通じて古人の作品研究を熱心に行うが、様々な流派を取り入れた作品は鵺派と呼ばれた。1900年(明治33)、パリ万博視察のために渡欧、帰国後、号を「栖鳳」と改め、本物の西洋の動物や風景を実見し写生した経験をもとに《獅子図》(現在所在不明)や《羅馬之図》(1901年、海の見える杜美術館蔵)を発表する。それまでの日本画表現と一線を画すリアリティをたたえたそれらの作品は高く評価され、日本画に革新をもたらした画家であるとされている。
しかし、実際のところ、栖鳳は渡欧前においても、写生に基づいた、風景に見られる現実的な大気や光、ものの質感などをとらえた作品を描いており、西洋絵画や西洋での経験のみが写実的な表現を形成したのではないことは明白である。ただし、それ以後に栖鳳が手掛ける作品における表現、選択された主題などの変化から見ても、やはり渡欧が一つの転換点となっていることは事実であろう。
本発表では、栖鳳が渡欧によって得た表現とは何かを改めて検証してみたい。渡欧前の作品を年代順に追い、それまで栖鳳が目指していた日本画を京都の画壇の状況とあわせて考察する。また、渡欧前と渡欧後の作品を比較し、奥行きや質感表現が実際にどのように変わったのかを見る。栖鳳が参照したと思われるコロー等の絵画とも比較し考察する。
●16:10~17:10:研究発表2
「舟木家旧蔵本洛中洛外図における人物表現について―職人尽絵を手がかりとして―」
発表者:村上春海(久留米市役所 文化財保護課 学芸員)
(要旨)
洛中洛外図は名所絵と月次絵の要素を混合させながら京都の街を描いたもので、室町時代から江戸時代にかけて多くの作例が確認できる。〈舟木家旧蔵本洛中洛外図〉(以下舟木本)は、江戸時代初頭に活躍した岩佐又兵衛の工房作と見なされている。舟木本の特徴の一つとして挙げられるのが、卑俗な表情の人物像をはじめとする、人間のリアルな姿を捉えた表現だ。特に遊女の描写は、先行する第一定型の洛中洛外図〈歴博甲本〉、〈上杉本〉、〈歴博乙本〉とは明らかに異質である。本発表では、舟木本の人物表現に見られる型や特異性について、職人尽絵の表現を手がかりに検討する。
歌合の形をとる職人尽絵は当世風俗を示す画題の一種ともいえ、同時代の職人の姿を紹介した、いわば職業図鑑である。明応9年(1500)に成立したとされる〈七十一番職人歌合〉が現存する初期の作例で、写本や後続の類本も多く流布したが、そこには遊女も“職人”として挙げられている。それら諸本の受容された時代は、16世紀の歴博甲本以降、舟木本の制作期とほぼ重なる。洛中洛外図にどの職業がどのように描かれているのかを確認することにより、初期の洛中洛外図から舟木本に至る流れのなかで、遊女を含めた又兵衛の人物表現がどのように位置付けられるのかを考察する。
《見学案内》
ご希望の方は、例会の前に下記の展示をご覧いただけます。
14時に芸術学部棟前に集合されましたら、展示会場までご案内いたします。
「チャールズ・ウォーゼン – ok ok. –」
http://museum.hiroshima-cu.ac.jp/index.cgi/ja?page=Home
■日 時:2022年12月13日(火)~12月26日(月)
10:00~17:00 ※土日と12/20(火)は16:00まで
■会 場:広島市立大学芸術資料館5階展示室 入場無料
2.次回第13回の芸術展示の開催時期延期について
先日11月24日付号外にて、会長からのお知らせとお願いをお送りしましたように、委員会で検討の結果、次回第13回の芸術展示については、立案と周知、そして作品制作に十分な時間的ゆとりを持たせるため、実施の時期を、1年度後に変更・延期し、2024年5月までを目処として開催することといたしました。
今後は、会員の皆様とも意見を交換しながら、よりいっそう充実した展示を目指し、実施に向けた態勢づくりと準備を整えていきたく思います。
ことに作家活動をされている会員の皆様には、延期により、ご迷惑をおかけしますが、よろしくご理解いただき、あらためて、引き続きのご協力・ご参加をお願い申し上げます。
3.事務局から
◆ 会費の納入(未納入の方へのお願い)
令和4年度会費の払込取扱票を、年報(および承認後の総会議案書)を送付した際に封筒に同封しています。未納入の方は納入をお願いいたします。なお、過年度の未払い分がある場合は、同じ取扱票にて、合わせて納入していただけます。当学会の会計年度は、毎年7月1日から翌年の6月30日までとなっています。取扱票を紛失した未納入の方、また会費の納入状況を確認したい方は、事務局(hirogei@hiroshima-u.ac.jp)にお問い合わせください。