会報

No.173

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【広島芸術学会】会報第173号  2024年3月15日発行
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□目次□
1.第139回例会(4月6日)のご案内
2.広島芸術学会「芸術展示」第13回展の開催
3.事務局から
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1.第139回例会(4月6日)のご案内
下記の要領で広島芸術学会第139回例会を開催いたします。ご参加をお待ち申し上げております。
日時:2024年4月6日(土)13:30~16:30
会場:合人社ウェンディひと・まちプラザ北棟5F「研修室B」(広島市中区袋町6-36)
 
【プログラム】
●13:30~14:30:研究発表
「音楽教育における伝統観の再考―高野辰之の視座を参照して―」
発表者:権藤敦子(広島大学)

(要旨)
 2017年に告示された学習指導要領では、これからの複雑な状況変化に対応し、新たな価値を見出したり目的を再構築したりすることが学校教育の課題とされている。また、伝統や文化に関する教育の更なる充実が求められている。しかしながら、そこでの「伝統」とは何か、ということについて、各教科での議論は深められていない。本発表は、こうした現状を踏まえ、学校における音楽教育における伝統観を再考することを目的とする。
 発表では、明治後期から昭和初期にかけて東京音楽学校における邦楽調査掛業務の主担当を務め、国民教育と専門教育双方の国家の政策決定の場に近接した位置で職責を全うした人物である高野辰之(1876-1947)の視座を参照する。高野は、1902年に「彼の長を採つて我短を補ひ、十分に渾成して、一大錦繍を織り出す」(『国文学史教科書』)という歴史観を示し、主著『日本歌謡史』(1926)では、外来楽への驚喜、模倣、同化、新しい自国の音楽の発生、成長、円熟というサイクルが繰り返されていることを明らかにする。俯瞰的な通史の捉えを通し、音楽文化において常に変化し続ける生命力が重要であること、伝承の過程で淘汰されてその文化固有の曲調が備わっていくこと、うたで、だれもが、自在に、みずからの思いを口にできることの重要性を提唱した高野の視座を検討し、音楽教育における伝統観を再考する手がかりを考察する。
 
●15:00~16:30:座談会
「芸術展示の過去・現在・未来」

(趣旨説明)
 広島芸術学会は、研究活動が主体ですが、それだけでなく、会員の作家とキュレーターを軸に実施する「芸術展示」を一つの特色としています。芸術に関わる研究活動とアートの創作実践の両者は、ともすると分離しがちです。その距離を詰め、両者の対話を進め、相乗効果を挙げようと試みてきました。1996年以来、この催事を基本的に隔年で実施し、今回で第13回目の開催に至りました。このあたりで、あらためて作家諸氏の意見を聞き、キュレーターや研究者、愛好者をまじえ、それぞれの立場の意見を交換し、芸術展示の将来を考える機会として、自由な座談会を企画しました。
 2023年夏の大会ではアートと「フレーム」に関するシンポジウムを開催しました。また昨秋、芸術展示に関しアンケートを実施しました。さらに、今春3月21日から26日まで「リ/フレーミング-美術における「フレーム」の再考」という芸術展示を催します。以上の準備また経過を踏まえて、改めて「芸術展示」の過去を振り返り、今を見つめ、豊かな将来に向けて、芸術展示の再構築、つまり「リ/フレーミング」をはかる機会としたく思います。
 
◆この「芸術展示」の発案者である初代会長金田晉先生やこれまで出品を重ねてきた作家の船田奇岑さんらを予定しています。                                          
                                             (提案・文責 青木孝夫)
 
2.広島芸術学会「芸術展示」第13回展の開催
 すでにチラシ及び学会ホームページ上でご案内しておりますが、下記のとおり本学会の「芸術展示」第13回展を開催いたします。上掲の次回例会案内に掲載しましたように、例会の後半では、「芸術展示の過去・現在・未来」をめぐる座談会を企画しています。会員諸氏には、ぜひ、このたびの第13回展に足をお運びいただき、併せて、4月6日の第139回例会にも奮ってご参加いただけますと幸いです。
■会期:2024年3月21日(木)〜3月26日(火) ※会期中無休
■会場:合人社ウェンディひと・まちプラザ 北棟4F ギャラリーB
■開場時間:10:00〜17:00
■入場料:無料
■出品作家:11名
 足利華嶂、岡 孝博、小田茂一、才田博之、田村美智子、千田 禅、范 叔如、平野邦明、船田奇岑、細萱航平、薮野圭一(広島芸術学会会員)
□関連イベント:出品者によるギャラリートーク 2024年3月24日(日)11:00~12:00
※チラシURLリンク
https://drive.google.com/file/d/1qgJvIoE5oqlG8-hYo38lqFdNKgMNkw5q/view?usp=drive_link
 
3.事務局から
◆新入会者のお知らせ(敬称略)
 権藤敦子(ごんどう・あつこ/音楽教育、民俗音楽学)
 志賀響乃(しが・きょうの/美学・芸術学、主に民藝、プロダクトデザイン)
 伊原木幸馬 (いばらぎ・ゆきま/音楽教育・声楽 )
 瀧口健太(たきぐち・けんた/サルバドール・ダリの1945年以降の作品)

住所、メールアドレスの変更、入退会については、
下記事務局までご連絡ください。

広島芸術学会事務局
〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1
広島大学 総合科学部 人間探究領域(人間文化)
Fax: 082-424-0752
E-mail: hirogei@hiroshima-u.ac.jp