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【広島芸術学会】会報第177号 2024年11月22日発行
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□目次□
1.第141回例会(12月14日)のご案内
2.インフォメーション(会員の活動から)
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1.第141回例会(12月14日)のご案内
下記の要領で広島芸術学会第141回例会を開催いたします。ご参加をお待ち申し上げております。
日時:2024年12月14日(土)14:00~16:10
開催方法:ウェブ会議システムZoomを用いたオンライン開催
オンラインでの参加
アクセス用URLなど参加方法の詳細については、開催1週間ほど前にメールなどでお伝えいたします。
【プログラム】
●14:00~15:00:研究発表1
「芸術のロマン主義的シェーマとその後―ラカンとバディウの芸術論」
発表者:上尾真道(広島市立大学 国際学部 准教授)
(要旨)
本発表では現代フランス思想における芸術論として、精神分析家ジャック・ラカンと哲学者アラン・バディウの二人を取り上げて比較し、それを手掛かりに、現代の芸術理解の地平に生じている変化について考察することを試みる。ジャック・ラカンといえば30-40年代におけるシュルレアリストやピカソらとの交流によっても知られているが、なかでも注目すべきエピソードとして、G.クールベの『世界の起源』の所持者であったことが挙げられる。彼の義理の兄弟にもあたるA.マッソンによるデッサンで覆い隠されながらラカンの別荘の寝室に飾られていたこの絵は、「見せることで隠す」というラカンの真理論を踏まえた芸術論を通じて解釈できるだろう。また、こうしたテーマが近代の芸術論のうちで占めた重要性については、アラン・バディウが『非美学の手引き』において論じたロマン主義的シェーマに依拠して理解することができる。バディウはさらに、このシェーマの限界についても批判的に再検討を行い、近代性の枠組みを超えた芸術理解のモデルを提供することを試みている。バディウのラカン批判とも連動するこの新たな芸術モデルについて我々も理解を試みることで、前世紀から今世紀にかけて芸術と哲学のあいだに生じた関係性の変化を理解するための手掛かりを探りたい。
●15:10~16:10:研究発表2
「幸野楳嶺の画譜制作と出版の諸相」
発表者:原山詠子(海の見える杜美術館 学芸員)
(要旨)
日本における画譜(テーマに沿った絵図をまとめた書物)は、江戸時代に中国の画譜の流入をきっかけに絵手本や画集として盛んに制作されるようになり、本草学研究の隆盛の影響も受けながら発展してきた。近代以降はその流れを汲みつつ、自然科学に基づく写実性をさらに重視した制作の展開が見られるようになる。近代において、早い時期から継続的に画譜を制作したのが、京都画壇の画家幸野楳嶺(1844~1895)である。楳嶺は画家としての活躍に加え、京都府画学校の設立など後進の教育にも熱心であったことが知られる。
本発表では、楳嶺による数々の画譜を整理し概観した上で、二つの観点から評価することを試みたい。一つは、楳嶺の画譜が絵手本や図案集としてどのように受容されたかという点である。楳嶺は花鳥画を得意としたことから、制作された画譜の多くは花鳥画が占める。近代の花鳥画譜の出版は20~30年代に隆盛期を迎えるが、それに先駆けるのが楳嶺の画譜であったといえる。楳嶺の画譜の内容と、その影響が見られる後続の画譜や工芸作品とを比較しながら受容の様相を検証する。
次に、画譜の制作に関わった人物や当時の各出版元の出版状況を手がかりに、画譜がどのような環境で制作されたかという点を明らかにする。楳嶺の画譜が初めて出版されたのは、東京の大倉孫兵衛(錦栄堂)からであった。この出版の翌年に第一回内国絵画共進会で高い評価を受けると、楳嶺の画譜は大倉だけでなく京都や大阪の出版元からも続々と出版された。出版が重ねられていく中での画譜の内容の変遷や傾向についても注目したい。
2.インフォメーション(会員の活動から)
会員・岡孝博(彫刻家)氏より、以下のグループ展「アート トワイライト御調 4th」の案内がありました。例年通り、尾道柿園での開催です。
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グループ展「アート トワイライト御調 4th」
▼開催期間 2024年11月9日(土)〜 2024年12月8日(日)
▼開催場所 尾道柿園(尾道市御調町菅2030)
▼開館時間 9:00-17:00(最終日は15:30まで)
▼参加作家 長谷川学(デザイン)、岡孝博、眞野俊祐(彫刻)竹本義子、古川竜史(絵画)
▼問合せ先 岡孝博 TEL: 090-9371-8095
▼関連URLリンク 尾道柿園https://onomichikakien.com
▼開催期間 2024年11月9日(土)〜 2024年12月8日(日)
▼開催場所 尾道柿園(尾道市御調町菅2030)
▼開館時間 9:00-17:00(最終日は15:30まで)
▼参加作家 長谷川学(デザイン)、岡孝博、眞野俊祐(彫刻)竹本義子、古川竜史(絵画)
▼問合せ先 岡孝博 TEL: 090-9371-8095
▼関連URLリンク 尾道柿園https://onomichikakien.com