会報

No.172

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【広島芸術学会】会報第172号  2023年12月4日発行

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□目次□

1.第138回例会(12月23日)のご案内

2.アンケート結果、および第13回芸術展示〈制作と思考〉「美術におけるフレーム」応募要項について

3.第139回例会の発表者募集

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1.第138回例会(12月23日)のご案内

下記の要領で広島芸術学会第138回例会を開催いたします。ご参加をお待ち申し上げております。

日時:2023年12月23日(土)14:00~16:10

開催方法:ウェブ会議システムZoomを用いたオンラインと対面のハイフレックス開催 

オンラインでの参加 

アクセス用URLなど参加方法の詳細については、開催1週間ほど前にメールなどでお伝えいたします。

対面での参加 

会場:広島市立大学 講義棟404教室(広島市安佐南区大塚東三丁目4番1号)

アクセス:

以下に示す大学ホームページの「交通アクセス」をご参照ください。

 https://www.hiroshima-cu.ac.jp/content0002/

※大学構内のキャンパス・ガイドおよび大学周辺図については、添付ファイルをご覧ください。

 

【プログラム】 

  • 14:00~15:00:研究発表1 

「戦後の広島における「画廊 梟」の役割」 

発表者:今井みはる(アートギャラリーミヤウチ ギャラリスト) 

(要旨)
 1966年広島市の繁華街の一角に「画廊 梟(ふくろう)」が開廊した。1986年に閉廊するまで主に広島を拠点に活動する作家たちを取り扱った。梟のオーナーで、文筆家の志條みよ子(1923-2013年)は、戦後間もなく文化人が集まる「酒場 梟」を開業。酒場のある通りを通称「なめくじ横丁」と名付け、1966年に念願の「画廊 梟」に改装した。取り扱った作家は、広島の戦前・戦後美術史における重鎮作家の福井芳郎、船田玉樹から、当時若手だった殿敷侃、入野忠芳といった画家で、志條より一世代上の作家からおおよそ二世代下まで幅広く取り扱っていた。閉廊後も自宅を「梟の部屋」と名づけ、画家たちが引き続き集まる場所であったとされる。梟が開廊するまで、広島には地元の作家を扱う画廊はないと言われているが、その意味と影響はどのようなものであったのだろうか。
 本発表では、画廊梟の展示歴から取り扱った作家や展示内容を紹介すると共に、同時代に広島市内にあった他の画廊―たとえば、「スズカワ画廊」「遊子館画廊」「白木屋画廊」「無垢画廊」など―と比較することで画廊梟の全容を明らかにしていくことを目的とする。それは、広島(地方)で制作する作家たちが地方の画廊や美術館の動きの中で、どのような活動を行なっていたかを検証することに繋がると考える。
 『美術ひろしま』の「広島文化小史」(出原均、2003-2006年に記載)で取り上げられた広島の画廊史の概要を参照しながら、発表者の所属館に寄贈された志條の旧蔵品や関連資料をもとに考察する。

 

  • 15:10~16:10:研究発表2

「文化九年の小池曲江 ~京都・江戸における交友関係~」 

発表者:安田容子(安田女子大学 日本文学科 講師) 

(要旨)
 小池曲江(1758~1847)は、仙台四大画家のひとりとされ、19世紀初頭における地方画人の一人である。塩竃の旅籠屋に生まれるが、若くして江戸に出て南蘋派を学んだ画人である。50歳ころより諸国を長崎や京都、四国など諸国を遍歴し、江戸では谷文晁と、京都では岸駒らと交流していた。晩年は仙台で、求めに応じて吉祥画を多く描いた。
 本発表では、文化九年五月に京都に滞在していた小池曲江が、江戸の谷文晁に宛てた書翰(宮城・有美堂所蔵)を中心に、彼の画業と交遊を紐解いていく。本書翰は、曲江55歳のとき、九州から京都へ移動した直後、江戸の谷文晁に宛てて認められたものである。50歳の文化四年(1807)から曲江は諸国遍歴を続けており、文化九年の五月は長崎滞在を経て京都に滞在していた。同年の十月には仙台に戻っている。本発表手紹介する書翰の内容は、秋の帰仙の際の土産とするための画帖の作成の催促である。さらに、追伸部分には、九州滞在中に京都の知人たちが鬼籍に入ってしまったことなど、老いと孤独感がつづられる。追伸部分に登場する画人たちは、京都の人物としては、呉春、呑響、竹堂、小栗文之進、南岳の5人があげられ、江戸の人物として、芙蓉と遑瑛があげられている。
 文化九年の小池曲江の動向と、書翰に登場する人物達が、曲江とどのような関係にあったのか、当時の京都、江戸の様子および曲江の作品と合わせて論じていく。

 

《見学案内》 

ご希望の方は、例会の前に下記の展示をご覧いただけます。

13時20分に芸術学部棟前に集合されましたら、展示会場までご案内いたします。

「日本画制作の現場(仮)」

http://museum.hiroshima-cu.ac.jp/index.cgi/ja?page=Home

 

■日  時:2022年12月21日(木)~1月7日(日)

10:00~17:00  ※土日は16:00まで 12月29日~1月3日(冬期閉鎖)

■会  場:広島市立大学芸術資料館5階展示室  入場無料

 

2.アンケート結果、および第13回芸術展示〈制作と思考〉「美術におけるフレーム」応募要項について

・アンケート結果について

 会報前号にてお願いしました芸術展示に関するアンケートへのご協力を、どうもありがとうございました。
 回答数は26名(オンライン回答14名、郵送回答12名)、回答率は全体の約15%に留まりましたが、うち半数は作家の会員の方であったことから、作家の方々からのご意見が反映された回答結果を得ることでき、今回のアンケートとして一定の意義があったと考えております。以下、ひとまず全体的な傾向をご報告いたします。
 出品料については、現在の額で妥当、また出品料負担を是とする意見が多数を占める結果となりました。
 展示以外の関連イベントに関する質問に対しては、「会員によるギャラリートーク」の希望が多く、また作品に対する意見を聞きたいという要望も潜在的にあるのではと思われました。
 展示会の企画・進行については、「会員中の企画担当の委員など出品者以外が企画を担当し、テーマ提案や進行するのがよい」という意見が最多(10名)で、「特にない」(8名)「出品者(作家)がテーマ提案をし、展示担当が進行するといった協働が良い」(5名)がそれに続きました。
 自由記述欄においては、会場について、県内の各所で開催を希望する声と例年どおり広島市内中心部でとする声の両方があり、また作品制作期間は半年程度があればという意見が多くありました。
 全体を総合的に見ると、基本的に従来どおりで良いという意見が多く、その点を改めて認識できた結果となりました。
・第13回芸術展示〈制作と思考〉の応募要項について
 上記の結果をふまえ、第13回芸術展示〈制作と思考〉は、前号で提示しましたテーマに沿って、以下の形で開催することにいたしました。

 テーマ:「美術におけるフレーム」
 会期:2024年3月21日(木)~3月26日(火)計6日間
 会場:合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島市中区袋町6-36)ギャラリーB
 詳細は、本メールに添付の応募要項および出品申込票(申込締切:2024年1月15日)をご覧ください。
 多くのみなさまからのお申込み、ご出品をお待ちしております。

 

3.第139回例会の発表者募集
第139回例会での発表者を募集しています。 開催日は未定ですが、2024年3月(4月初旬の可能性もあり)におこなわれる予定です。研究発表を申込む場合は、2024年1月末日までに、600字前後(字数増減1割程度)の発表要旨を、「発表タイトル」を添えて学会事務局宛(メールアドレス:hirogei@hiroshima-u.ac.jp)に提出してください。

住所、メールアドレスの変更、入退会については、
下記事務局までご連絡ください。

広島芸術学会事務局
〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1
広島大学 総合科学部 人間探究領域(人間文化)
Fax: 082-424-0752
E-mail: hirogei@hiroshima-u.ac.jp